ピアノの奏法についての考察2014/08/17 21:00

ピアノの奏法に関して、ネットや書籍でいろいろ調べてみました。

ピアノという楽器に初めて触れた当時の日本の人々は、ドイツの先生に弾き方を習ったようなのですが、
その先生が所謂ハイフィンガー奏法だったらしく、日本ではそういう弾き方がはびこったということらしいですね。

今でもそういう弾き方をしている人はいて、YOUTUBEなどを見ても結構そんな手をしている人は多いです。
しかも結構うまい。
でも見ていて痛々しい。

私は所謂音楽大学できちんと奏法を先生に習ったということはありません。
しかし、学生時代からジャズの世界でプロになってしまい、その後スタジオ等でジャズ以外のいろんなジャンルを弾かされ続けいろいろ文句を言われているうちに、
所謂重量奏法的な弾き方が、自然に身についてしまっていると感じます。

きれいな音で、運指は素早く、しかも手や腕に無駄な負担をかけないように弾くということを要求され、また自分でもそうしようと思っているうち身に着いたのかもしれない。

ハイフィンガーといわれる弾き方は、指の力だけで弾くような奏法ですが、
指にはもともとそんなに筋肉は無いので、非常に疲れる弾き方だと思う。
私はものぐさなのでそんな疲れる弾き方で練習するなどできなかったのでありますね。
逆に、なんとか楽をして早いフレーズを弾くようにしようとしていました。

変な先生に習わなかったというのもよかったと思います。
ピアノは自力で上達できます。
奏法はその人の感性に見合ったものに自然に回帰するのでしょうね。
私の場合はものぐさが功を奏したと思っています。

リスト2014/06/18 07:40

リスト

リストの曲の中にメフィストワルツというのがあります。
高校生の頃かなり好きで弾いていた曲なのですが、これを久しぶりに弾いてみました。
弾いてみると、この曲にはジャズの要素が大変たくさん詰まっていることに改めて気付きました。

所々に出てくるコンビネーションディミニッシュスケール、リディアン7th系のアルペジオなどはいつも私が弾いている音型そのままです。
でも当時この曲をジャズと結びつけたことは全くなかった。

ただこの曲を好きだった理由がおそらくこうしたハーモニー感覚にあったのかもしれない。
ジャズを好きになってからはこういうハーモニーばかりを追求したという経験から、私の感性に合っていたのだと思います。

ショパンの和声にリストが影響を受けたということもありそうです。
でもショパンよりとんがった印象がリストにはある。
何となく性格の違いのようなものが見えて面白いですね。

ピアノの練習2014/06/07 21:31

ピアノ演奏技術(特に左手)の上達方法

音楽性や感情なども含めた上でのテクニックということではなく、
単に指が自由に動くようになるための練習方法を書きます。

ハノンという教材が有名ですが、これは賛否両論がある。
機械的運動に陥りやすいため、結構否定されることも多いです。
作られた時代が古いとも言えるからかもしれない。
最近はピシュナとかいう新しい教材も出てきて、まあそれも悪くないけど、
実はハノンは結構使えるというのが私の結論。

譜面上はすべてキーがCで書かれているため、それを繰り返し練習するうち
マンネリ化して単に機械的に指を無意識に動かすことになる。
というのがこの教材を否定する根拠のようです。

そこで、私はキーを変えていろいろ弾いてみたのですが、これはかなり良い。
特に半音を上げたり下げたりしたもので1番から30番まで連続して弾くのがかなり技術の上達に貢献します。
最初はかなり戸惑います。
でも何日も続けるうち、白鍵だけのときと変わらず弾けるようになります。

なおかつ左手(私は右利きなので)に意識を集中して半音違いのハノンを弾き続けたら、効果は絶大でした。

ショパンの難しいエチュードが移調ハノンの練習のおかげでめきめき上達していきました。
エチュードをエチュードで訓練するというわけわからないことをしていたのですね。

しかも、この効果が若者でなく、還暦のおっさんに現れたというのが衝撃的。
ピアノはきちんと訓練すれば年齢関係なしに上達するということを、実感した次第です。

ショパン2014/06/04 07:37

久しぶりにここへ書いています。
IDやパスワードを忘れてしまっていて、往生しましたが、
なんとか復活しました。

最近ショパンのエチュードを訓練がてらよく弾いていますが、
つくづくこの作曲家は時代を先取りした人だと感じます。
日本では江戸時代だった同じ時代に、
こんなハーモニーの音楽を作っていたのは驚異的。
現代のジャズで使われる4度進行的コード進行や、オープンハーモニー、M7thコードやリディアン的7thコードなどが垣間見えます。

ジャズを先取りしていたともいえますが、時代を考えると逆でしょう。
後のジャズミュージシャンがショパンを手本にして音楽を発展させたというのが正解かもしれない。

伝説のピアニストアートテイタムはもともとはコンサートピアニストを目指していたそうです。
しかし黒人であるためそれが叶わずジャズをやったというような話を聞いたことがあります。
テイタムがショパンのワルツを弾いているのがありますが、きっとかなりショパンを練習していたと想像できます。
ディックハイマンやビルエバンスなどにもショパンの影響は大いに見てとれますね。

ショパン以後の作曲家、たとえばラフマニノフなどにはあまりショパン的ハーモニーは出てきません。つまりはジャズ的なハーモナイズではない。
たとえば前奏曲の鐘なんてのを分析すると、ジャズではご法度のドミソ系三和音の左右二段重ねの連続です。

それはそれで悪いわけではありません。
しかし、ショパンだったら絶対あんな音の積み重ねはしなかったと思います。

音語り、東京物語2011/05/15 16:34

5年ほど前から始まった女優の中井貴恵さんの朗読に私がピアノで絡むというシリーズ、「音語り」。
絵本の「あらしのよるに」から始まり、その後小津安二郎監督の映画作品のシナリオを読むというかなりな冒険に挑戦して「晩春」「秋日和」と続けてきました。
そしてついに昨日、小津映画の代表作といわれる「東京物語」を小津さんゆかりの古石場で公演したのです。

小津作品を「音語り」でというアイディアが出た当初から「東京物語」は候補にあがってはいましたが、これは無理だということで候補から外されていた作品でした。
そこで最初は「晩春」、次の年に「秋日和」とやってきたのですが、今年はついに「東京物語」に挑戦することになったのです。

脚本を潤色してくださった山内さんは前2作の手ごたえから「東京物語」も恐れるに足らずとばかり、映画のエッセンスを損なうことなく、且つ朗読で講演するに必要十分な長さに見事にまとめあげ、素晴らしい台本を作ってくださいました。

貴恵さんの語りは長年の「読み聞かせの会」や「あらしのよるに」ですでに超一流ではあるのは証明済みなのですが、小津作品前2作の朗読でまた新たな境地を見出した上での今回「東京物語」での語り口は、絶品といってよいものだったと思います。

その語り口をより効果的に盛り上げるということに全神経を集中して私は音楽をつけていったのですが、いつもながら歌手の伴奏などと比較すると何倍も難しい作業だということが改めて実感された思いではあります。
ただ、難しいからこそ実にやりがいもあるし、楽しいというのも事実です。

映画とはそういうわけで全く違う次元の作品ではありますが、新たな「東京物語」が生まれたという思いがいたします。
山内さん、貴恵さん、お疲れ様でした。